内容紹介
世界金融危機の中で行われた2008年11月のアメリカ大統領選挙では、“変革(チェンジ)”を旗印とする民主党候補のバラク・オバマが、 共和党候補のジョン・マケインに勝ち、今年1月にアメリカ初の黒人大統領が誕生した。

本書では、多様化するアメリカの社会において、人々の意識をつなげることに成功したオバマのコミュニケーションの秘密を探り、その底流にあるオバマ流メッセージ力学の本質に迫る。それにより、3億人のアメリカ国民を動かすことができるコミュニケーションの“チカラ”を、ビジネスパーソンが日々の課題解決に資する有効な“チカラ”として使いこなすことができるよう、その考え方を紹介する。

 第1章「オバマ現象とは何か」
「歴史」が動いたその本当の意味とは/オバマの選挙は何もかもが空前絶後/選挙に無関心な若者が「オバマ・ガール」「オバマニア」へと変貌/インターネット上でも前代未聞の影響力を発揮/空前の集金額は620億円/著名人、アーティストを味方に巻き込む/ベルリンの演説で20万人を動員/日本にもオバマブーム到来!?/これだけの人を動かすオバマのメッセージ性の秘密とは?/「対立」で「分かれる」コミュニケーションからの脱却/始まりは2004年7月の民主党大会/建国の理念に立ち返るオバマの論法/”Change”、”Yes, we can"が意味するもの/若者の就職も変えたオバマのメッセージ性/オバマのメッセージ性はショットガン方式/感謝で始まるオバマの演説/オバマ流は日本人に向いている/オバマ勝利が意味するアメリカの「生まれ変わり」 コラム「自民党も恐れたオバマ現象」
 第2章「大統領選挙戦の実際」
戦いの期間は約2年/建国当時から変わらない制度/ステップ1 代議員の選出(党員集会と予備選挙)/ステップ2 民主党・共和党で候補者を指名(党全国大会)/ステップ3 大統領選挙人を選ぶ一般投票/ステップ4 大統領選挙人による投票/選挙戦略とはなにか?/価値観分析によって無党派層を知る/「好き」「嫌い」を探るパルス・ライン分析/少人数で行うフォーカス・グループ・セッション/有権者の潜在意識を掘り起こす/価値観グループの引力関係を探る/世論を醸成し、そこにメッセージを投げ込む/事象を意図のあるメッセージに変える/有権者が共感できる意味づけの”土俵”づくり/空中戦・地上戦の始まり/事象を意味づける空中戦でのメッセージ発信/「マニフェスト選挙」も始まる自民vs民主のコミュニケーション戦争/不夜城、オバマ選対本部/マケイン候補が敗北を決めたひと言/「チーム・オバマ」は走りながら考えられる/大統領選は、戦略コミュニケーションのF1レース/大統領選挙は、最先端コミュニケーション技術の開発現場
 第3章「三位一体の戦略コミュニケーション」
オバマの戦略コミュニケーションを支える3つの仕掛け/仕掛け1 弱みを強みに変える土俵設定/有権者との時代認識の共有、”Change”/「直接話法」では政治メッセージは伝わらない/「間接話法」で何となく気づかせる/マケインは"more of the same"/大いなる希望を持とう、"Audacity of Hope"/アメリカ人の原点回帰、"United States of America" , "Yes, we can"/オバマの土俵設定のマジック/土俵設定は早い者勝ち/土俵設定には本人の「そのまんま」とのマッチングが大事/マイノリティの意識が基本メッセージを決めた/"Good Product"オバマ/仕掛け2 参画意識の醸成と支持者の囲い込み/"Yes, we can"vs"Yes, I can"/パーソナライゼーションがリアルな問題意識を呼ぶ/大いなる挑戦、"Grass Roots"(草の根運動)/集金システム自体をメッセージ化/専用アプリケーションで個人の支持者を囲い込み・拡大/仕掛け3 コミュニケーション・レバレッジを効かせる/インフルエンサーにはお金は通じない/オプラ・ウィンフリーとコリン・パウエル/多彩なインフルエンサー コラム「小泉流メッセージ力学の本質」
 第4章「オバマ陣営の戦術」
「チーム・オバマ」3つの特徴/特徴1 空前の巨大組織/選挙事務所のプロ集団/特徴2 まれにみるチーム・スピリット/ほころびだらけのクリントン事務所/特徴3 インターネットを利用した組織作り/大統領選挙におけるネット戦略は2004年から/史上最大のデジタル選挙/公式サイト"BaracjObama.com"/戦略”Obama is Everywhere”/選挙ツール"Obama Mobile"/Obama Mobile そのほかの機能/Issue Focusの戦略/ネット戦略の効果とは?
 第5章「戦略コミュニケーションの発想」
コミュニケーションとは何か?/胎児は笑う - コミュニケーションの原点/「立ち位置」(ポジショニング)が人を動かす/コミュニケーションの力で「立ち位置」をつくる/コミュニケーションはコストパフォーマンスが高い/コミュニケーションは意識しなくても作用する/コミュニケーションの力を最大化するには?/プロセスを意識してコミュニケーションを訓練する/コミュニケーションをレベルアップさせる「メッセージ化」の能力/必要なのは「意味づける力」/視点の流動化が「意味づける力」を培う/自分を意味づけることから始まる/コミュニケーション・レバレッジを効かせる/自分にとってのインフルエンサーは誰か?/共感を醸成する課題(イシュー)共有/ブランドからレピュテーションへ/部ランディングでは企業価値を守れない/共感のコミュニケーションがレピュテーションをつくる/企業が知見を役立てる/戦略コミュニケーションとは/戦略コミュニケーションが新たなコミュニケーション・パワーを生む
 おわりに
多様性(Diversity)を生き抜くコミュニケーション力
 オバマ演説集 英日対訳
2004年民主党大会基調講演・全文:The Audacity of Hope
2008年大統領選勝利演説・全文: Change Has Come to America
2009年大統領就任演説・全文: Barack Obama's Inaugural Address