両院議員懇談会、解散会見、どちらも「謝罪」から始まりますが、内容を見ると、「謝罪の対象者」と「何への謝罪か」が異なることが解ります。
自民党両院議員懇談会では、自民党内とコアな自民党支持者へ向けての「自民党の危機を招いたこと」への反省と謝罪、
解散記者会見は一般国民へ向けての「麻生首相への信頼、国民の政治への信頼、自民党の実力への信頼を失わせたこと」への反省と謝罪です。
その後は、首相としての決意、今後自民党はどういう政策を行っていくか、民主党の批判(解散会見では、プラスして自民党の実績)、それぞれに応じたまとめという構成でしたが、クライシスコミュニケーションとの一種と見えます。
なお、「謝罪」が最初に来ていることから、「信頼の崩壊」というクライシス回避を最大目標としていると考えられます。したがって自民党議員向けの会合である自民党両院議員懇談会を「非公開」として「密室政治」のイメージを伝えることは、さらなる国民の政治不信を発生させるため、「公開」としたと考えられます。
また、解散会見では、「謝罪」以外は簡潔に今後の方針を示した「3つの約束」を提示。「国民の信頼」が無いことを前提とし、コミュニケーションの限界を考慮に入れた内容であったと思います。
結果、これらの演説前には「麻生首相が来ると票が減る」と言われるほどでしたが、党内や自民党支持者から「選挙の応援演説依頼」が来るまでに信頼が回復しました。
しかし、解散会見日翌日から7/30までの期間、一般国民向けの遊説を重点的に行っていた民主党鳩山代表とは対照的に、麻生首相が一般国民向けの演説を一切行わず自民党の支援団体ばかり回っていたことを考えると、あの2つの演説では、「自民党・自民党支持層の信頼回復」「一般国民の信頼崩壊の防止」までは想定していたが、「一般国民の信頼回復」までは想定していなかったのではと考えられます。
その後、7/31「自民党マニフェストの発表」後に、やっと、麻生首相は、市役所前などで、「一般国民」向けの演説を始めました。
この結果から「自民党マニフェストの発表」が
「国民の課題が何であるかを示し、争点を明らかにし、それを解決する政策を提示し、そしてなぜ自分でなければその政策を実現できないか」を主張する国民向けの「攻め」のコミュニケーションの始まりであると考えられます。
「攻め」のコミュニケーション開始前に、「一般国民の信頼」を回復しておく必要があるので、「財源問題、安全保障問題、民主党のマニフェストの批判」などのネガティブキャンペーン、および経済対策などの実績の強調を行ったのだと思うのですが、解散会見以降現在までの世論調査結果を見る限り、国民の支持は自民党から民主党へじわじわ移動しているので、自民党への「一般国民の信頼」は回復できていないと考えられます。
もはや民主党を批判したり、自画自賛を行えば麻生首相・自民党への信頼が増すという状況でなく、麻生首相・自民党自体への信頼の無さ(意図と実力に対する)が問題となっているのだと考えられます。
この状況での「攻め」のコミュニケーションは、国民の不信から十分な効果を発揮できないと思われます。
別途、信頼回復のためのPR策が自民党には必要と考えます。
(一部業界・官僚・自民党などのためでなく国民全体の利益を最優先として行動すると表明し、それを可能とする自民党改革案を発表する。経済対策の実績の強調を第3者機関から行う。など)
2009 年 8 月 3 日 4:10 AM |
秀里 顕
すでに、「政権交代Yes or No」という土俵を先に設定されてしまったため、効果ある自民の「攻め」のコミュニケーションを実施するのは難しい状況です。あと可能性としては8月30日、投票日までに何か、自民が反転攻勢にでれる国内外における事象が起こるかである。その事象を意味付け、政権交代Noという空気をつくれるかでしょう。
2009 年 8 月 5 日 2:59 PM |
田中慎一
ここからは、実務でのPR戦略など作ったことの無い「素人考え」ですので、生意気な新入社員の案くらいに考えてお読みください。
【現状認識】
8/8・9実施の産経新聞社とFNNの世論調査では、「衆院選の争点として最も重視するのは、医療・年金などの社会保障30・8%、景気対策20・1%政権交代15・0%、子育て・教育問題10・7%」となりました。
また、小選挙区の投票でも、「候補者個人31.9%よりも政党の政策49.7%」で選ぶとの結果が出ており、
「政権交代 YES or NO」でなく「政策の選択(医療・年金・景気を重視)」が受け入れられた結果となったようです。
自民党による「攻め」のコミュニケーションの中で「自民党への信頼」に関わらない客観性のある主張「政権選択が本質で無く、政策とその実施可能性・結果期待が本質。」と、民主党批判「マニフェストの修正を繰り返す民主党は不安。」が一部の有権者に受け入れられ、比例代表の投票先では自民党横ばい、民主党微減になりました。
しかし、民主党圧倒的優位に変わりありません。(8/8・9共同通信トレンド調査でも、比例代表の投票先は、自民党横ばい、民主党36.2%→30.7%)
「自民党による「攻め」のコミュニケーション」実施が「自民党支持」につながってこない。また、「民主党批判の成功」ですら「自民党支持」につながってこないという、「自民党への信頼」の無さが如実に現れた結果となったと思います。
【今後の情勢予測】
重視されている政策分野「医療・年金・景気」については、有権者から見て目に見えるほどの違いが出せない政策分野であり、自民党が政策の優位さを示すことは大変困難です。
さらに民主党の修正マニフェスト確定版が出た後は、政策の違いが目立たなくなるので、政策の違いを主張しても効果が低下します。
結果として、民主党(鳩山代表を信頼できる50%以上)、自民党(麻生首相を信頼できる20%台)の信頼性の違いから時間とともに民主党の主張「官僚の官僚による官僚のための政治・無駄使い天国を無くす」(7月末マニフェスト発表時の最初の内容)の具体性に乏しいがイメージの強い主張が効果を高めることになり、「政権交代」が重要視され、自民党の支持率低下につながっていくと考えられます。
【対応策】
この状況下で、自民党側が支持率回復のためにとりうる案が「国民全体の利益のための自民党改革案の作成・発表」と考えています。
私が考えている内容は大枠で①~⑥であり、実施できれば、かなりの信頼回復を見込めると考えます。
① 2005年総選挙以降の自民党政治の反省
民主党は、過去から変わらない自民党政権では何も変わらないと主張してくるので、2005年総選挙後の慢心や道路公団に代表される改革のなし崩しなど、これまでの党運営についての反省の弁が必要と考えます。
② 公共性の強い2大政党の一つとして、支援団体や一部国民の利益よりも国民全体の利益とは何かを考えて政策を議論し決定し、国民の納得を求めていくと約束
民主党は、「生活が第一」の有権者を支持者と想定している以上、自民党は、定額給付金をもらえることより財政再建を重要視するほど公共心の強い有権者層を支持者とすべきと考えます。
③ ②のために、企業の内部統制に準じた仕組みを党運営に取り入れていくと約束
党運営を公共性の強い有名大企業なみ、またはそれ以上にガラス張りにすることが必要と考えます。
④ 党改革のイメージに一致する人物を改革責任者に指名
「経済に特化した麻生首相」では今回の改革のイメージと一致しないので、「正しさ」や「信頼」のイメージがある人物を党改革責任者とすべきと考えます。
⑤ 「自民党」から有権者全員への約束として、政権維持・喪失にかかわらず確実に実行すると約束
⑥ 実力のある戦略コミュニケーション(パブリックリレーションズ)の実務家が演出して発表
なお、「国民全体の利益のため」は書いていませんが、他の様々に指摘されてきた政党の問題を踏まえた政党法制定案(内部統制案)を構想日本が作っておりますので、この法案をもとに考えれば短期間でもある程度のものはできると思います。
日本国の現状を考えると、自民党消滅と言えるような大敗だけは避ける必要があると思っていますが、私には能力も評判もありませんので、どなたか実行しうる方に期待するしかありません。非力な者ですが、必要ということであれば、可能な限り協力させていただきます。
【他、自民党内の改革必要性の認識について】
「自民党大敗なら党の刷新・改革の運動が起こると中曽根元首相が発言」と8/6産経新聞朝刊に出ています。さらに、かなり多くの自民党の候補者も「今後、党改革が必要(具体的イメージの記載は無いが)」と考えているようです。(当方の在住する県の全選挙区の自民党候補全員が「党改革が必要」と発言していたと記憶しています。)。
自民党内でも、もう一度自民党が政権党として復活するためには、どこかで「有権者からの信頼回復」を図る必要があると認識されていると考えます。
2009 年 8 月 12 日 4:13 PM |
秀里 顕